2016年10月28日金曜日

罠猟の準備


鮎漁が終わり早くも二週間たった。


鮎漁で破いた網もまだ繕ってないまま、11月15日の猟の解禁に向けて、準備を始めてる。


しかし漁が終わってからの2、3日は山に入っても2時間もすればすぐに疲れて家に帰ってしまった。

おいおい今年の猟は大丈夫かな?と自分で思うくらいに気が抜けていた。

疲れるのは体力もだけど、精神的にもすっごい疲れる。


獣道を見て、もあれーここよく通ってるのかな、去年ここで獲れたから、今年も獲れるかな。といったあいまいな気持ちで、次の場所に移動する。


そんな状況だとやはり心身共にとっても疲れる。


しかしここ数日は変化があり、山に入り昨日の夜、獣が通っただろう痕跡を見つけると胸が高ぶってくる。

そして今日は痕跡の多い場所に行くと、がさがさっと音が近くでした。


動物だ、と思い耳を澄ませ音の鳴った方へ視線を配る。

ざざっとイノシシが坂を上っていくのが見えた。

ウリ坊が2匹、慌てて走って行った。追いつけないのは百も承知なのだが追いかけたくなり追いかけてみると、その先で荒い鼻息が近くで聞こえる。しかし姿は見えない。


絶対にウリ坊の鼻息ではないと分かるくらい大きな鼻息が耳に着く。

親がいるな、と思いまた耳を澄ませ辺りを見ると、

大きなずんぐりむっくりの黒い個体が現れた。


こちらを警戒しながら様子を見ている感じ。目と目があったのはほんの2秒くらいだっただろう。

なんだかとっても嬉しかった。

向こうが自分の存在を意識してくれ、そして自分も相手の存在を意識する。

ここに獲る獲られるという感情はないのだ。


罠で獲れたときと、たまたま山で動物に会うときとは全く違った感情になる。


ただ猟期が始まると僕は獲る人になる。この猟期が始まるまでの下見のときに出会う動物は何だか愛おしいんだ。